「ふたりで話しながら歩いてたら、3人の男に話しかけられたの……

それで〝姫〟はどっちだって聞かれて」



「ああ、」



「羽歌が……自分が姫だって。

向こうは髪がロングっていうのを知ってたらしくて、それを疑わずに羽歌を連れていって……」



「お前を庇ったのか……」



乃唯が小さく息を吐いて、また泣き出した羽紗を引き寄せる。乃唯が羽紗の頭を撫でながら、「ハチさん」と元トップに声をかけた。



「どれが、最善策だと思いますか」



「結局お前は、先代から離れらんねぇんだな」




ハチさんの言葉に、乃唯は「羽歌が最優先です」と眉間にシワを寄せるけれど。



「生憎、俺らの代には女がいなかった。

だから、姫を助ける方法なんてもんは俺らは知らねぇよ」



「………」



「そんな顔すんな。

お前はお前のやり方でやれ。それを貫いても出来ねぇんだったら、俺らが手貸してやるよ」



乃唯や俺らの甘えを受け入れてくれんのが、先代だ。



「──わかりました」



乃唯が静かに声を落とすと、羽紗がゆっくり顔をあげた。もう泣いてなくて、強いのは羽歌と同じだな、なんて思ってしまう。