羽紗と咲乃が、互いに身を引いた時からずっと。──ううん、その前からずっと。



だから、伝えたいことはひとつだけ。



「私に居場所をくれたのは、あなただったの。

嫌いだなんて言ってごめんなさい。私に幸せをくれてありがとう」



──大好きよ。



そう言えば咲乃は「俺も」と笑ってくれた。これでやっと、咲乃を私から解放してあげられる。もう、囚われなくていいんだから。



「もー、咲乃ずるいっ!」



「知らないよ。

羽歌は俺に言ったんだから」




険しい表情の羽紗に、「どうしたの」と訊ねれば。



「咲乃にだけ〝大好き〟なんてずるいっ!

わたしの方が、羽歌のこと大好きなのに……!!」



「は?」



「俺の方が好きだよ、羽歌のこと」



「知らないもんっ。

羽歌はわたしのなんだから……っ」



私に抱きついたままの羽紗と、隣に座る咲乃。ふたりの会話に呆れつつ、思わず笑ってしまった。──ああ、もう。



「私はふたりとも大好きよ」