──……
ガチャ、とドアノブに手をかけて捻ると、扉を押して部屋を出る。──その、前で。
「なんかあったのか?」
「……岬」
「出てくんの遅かったから、心配した」
「ごめんね、大丈夫よ。
和泉を寝かせてたら、時間かかっちゃって」
ほら、酔ってたからちょっとわがままだったの。──そう言えば、彼は「そうか」と微笑んで、下へと私を促す。
「ハチさんたちも、もう寝るらしい」
「そうなの?じゃあ、お片付けしなきゃ」
そう言って降りようとしたら、くっと腕を引かれて。なんだと振り返れば、彼の真剣な表情にどきりとする。
「片付け、終わったら……
ちょっとだけ、話いいか?」
「……うん、わかった」
頷いて、彼に微笑む。だけどもう岬が微笑んでくれることはなくて、代わりに考え込むような表情のままで。
なんだか重い何かがのしかかっているような思いをしながら、彼と下へおりた。



