「俺……自分の気持ち甘く見すぎてた。
お前のこと、予想以上に好きなんだよ」
──好き、なのに。
「和泉……」
「お前が岬のこと気にかける度に落ち着かなくて……嫉妬して、
酒飲みまくって結果これだ」
彼の気持ちに応えられない自分が嫌だ。好きなのに、どうして彼を抱きしめてあげられないんだろう。「私も好きよ」って、言ってあげられないんだろう。
「やっぱ、俺のこと見て欲しい」
酔いなんて、なかったみたいに。はっきりと告げられて、胸の奥が苦しい。思わず「好き」と口にしてしまいそうになる。
──そんなことしたって、和泉を傷つけるだけなのに。
「岬の次でもいいから……」
思わず、目を見張る。だって、和泉は、こんなこと言う人じゃないと思ってたから。次、なんて。叶わないに等しいのに。
「頼むから、離れんなよ……」
縋る言葉に、唇を噛む。
──きっと、彼を傷つけてしまう。
それでも、私は。



