「おい、和泉。大丈夫か?」
その声にはっとして和泉の名前を呼べば、彼は「寝る」とフラフラしながら立ち上がる。
「っ、ふらつきすぎ……」
「……悪い」
「もう、いいから……
岬、私がいつも貸してもらってる布団に和泉を寝かせてもいい?」
「ああ、大丈夫か?」
「うん、ちょっと行ってくるわね」
和泉を支えて2階へ上がると、そのあと布団に寝かせる。悪い、とつぶやく和泉に、小さくため息をついた。
「気にしなくていいから、もう寝てなさい」
──和泉が、酔うなんて珍しい。
普段、ハチさんやオーナーたちと一緒に飲んできても、彼はケロッとしてる。かなり飲んでるのにケロッとしてるから、お酒は強いほうなはずなのに。
「あなたが酔うの、珍しいわよね」
「……はぁ」
和泉が、ため息をついて。それから、手を伸ばして私の後頭部を優しく引き寄せたかと思うと。



