「ああ、高校生は夜出入り禁止だから」
私の言いたいことがわかったように先に告げる彼に、「そうなんですか」と口にすれば。
「ま、女の子も夜は出入り禁止にしたいよね。危ないから」
──やっぱり、オーナーはオーナーだった。うん、相変わらずのフェミニストね。
「店が男でむさ苦しくなんのも嫌なくせに……」
「いっそのこと昼間限定にして、
女の子だけが入れる店にしようかな」
にこっと笑ってそう言うオーナーに、何も言えず、愛想笑いを返していれば。──浅い眠りについていた和泉が、ゆっくりと体を起こした。
「はよー、和泉」
「ん……はよ」
「寝たくせにさっきより顔赤くね?
すげー酔ってんじゃん」
葉月さんがそんなことを言うから、ついつい和泉の顔をのぞき込む。確かに、さっきより顔が赤いし目も潤んでる。
「和泉……やっぱり、水飲んだら?」
「……いい」
和泉が、私の肩に顔をうずめる。声をかけようとしたら、小さく名前を呼ばれて。
好きだ、と、私にだけ聞こえるように囁かれると、思考が止まってしまう。



