「和泉……?」
「飲みすぎた……」
言われてみれば、ほんのりと彼の顔は赤い気がする。だから、飲みすぎないでって散々言ってたのに。
「酔った?」
「ちょっと酔ってるかもな……」
そう言って小さくため息をつく和泉。彼が自ら膝枕をせがむなんて珍しいから、きっと少しぐらいは酔ってるんだろう。
和泉の髪をそっと撫でてあげるけれど、見上げるその表情がお酒のせいか色っぽくて、視線をそらしたくなる。
「なにイチャイチャしてんの。
羽歌ちゃん、そんなヤツほっときなよ」
ニコニコと怖いぐらいに笑って、そう言うオーナー。別にイチャついてるつもりはなかったんだけど。
「お水、飲む?」
「いや……そんなに酔ってねぇと思う」
だからいい、と和泉はまぶたを閉じた。──もしかして、このまま眠るつもりなの?
「和泉……」
名前を呼ぶけれど、本当に酔ってしまっていたのか眠たかったのか、和泉はすんなりと眠りの中へ落ちてしまって。
小さくため息をつくと同時に、部屋の扉が開いた。