──岬の家に泊まったのは、結局私だけではなかった。はっきり言おう。先代の皆さんも泊まった。



ちなみに、ハチさんの代はハチさん、和泉、葉月さん、オーナーの4人しかいないけれど、もうひとり幹部がちゃんといるらしい。



なんでも、いまは海外にいるとかで。



「んでさ、お前が変なこと言い出したんだよな」



「いや、でも葉月が変なこと言い出すのなんていつものことだろ」



──現在、時刻は0時前。声量は落として彼らは話しているけれど、テンションはまったく落としてない。というか、お酒まで飲んでいい感じになってる。



ハチさんだけは、落ち着いて彼らの様子を見守っているけれど、会話に入った時は、仲が良いんだと思えるほどには表情が優しかった。




「飲みすぎちゃダメですよ……」



「ああ、悪いな。

ところで岬はどこ行った?」



「稀沙から連絡きたみたいです」



気を使ったのか、岬ママも岬パパも早めにリビングから引き上げて寝室へと行ってしまった。岬は自分の部屋で電話中。



だから、いまリビングには先代たちと私だけ。



「あー……やべ」



そうやってハチさんと話していたら、不意にとなりにいた和泉が寝転がって私の膝に頭を乗せてくるから。──思わず、息がとまった。