体を起こすと、和泉と目が合って。胸がきゅうっと締め付けられる。
「今日、羽紗が帰ってくる日だったんじゃねぇのか?」
私の目線に合わせてしゃがみ込む彼に、小さく頷く。和泉がぽんぽんと頭を撫でてくれて、すんなりと言葉が出てきた。
「咲乃も……帰ってきた、の」
「はぁ?あいつが?」
「……うん」
──先代もみんな知らなかったらしく、顔を見合わせているし。和泉は私の表情をのぞき込んで、「大丈夫か?」と訊ねてきた。
「……うん」
「まぁ、岬と一緒にいるっつうことは、
色々ごたついてんだろうな」
わかったようにそう言う和泉に、気持ちがあふれてしまいそうで苦しい。でも、そんなわけにはいかないから。
「なんかあったら言えよ。な?」
「うん、ありがとう」
私たちは、いとこの関係を続けるだけでいいの。それだけでそばにいられるんだから。──もっと近く、なんて。
贅沢なことを言う必要は、どこにもないのよ。