──その数時間後、彼との連絡手段が途絶えた。それを怪しく思った私が羽紗に尋ねたとき。私は事実を知ることになる。
「お姉ちゃんって、
頭良いのになんで気づかないの?」
「なによ」
「あのキスが、本当に事故だったと思う?」
「……っ、うるさい」
嫌な予感がした。これ以上聞いたら、きっと傷つくと思った。──それでも、私は。
「咲乃が好きなの、お姉ちゃんじゃなくて
私のほうだよ?──羽歌」
──咲乃のことを、信じてた。
唇が震えて、視界がぼやけていく。昔からそうだった。性格が悪くてキツい私を好きになってくれる子なんてほとんどいなくて。
友だちなんてもってのほか。和泉のところに入り浸る日々を過ごしていた。
それでも、私を好きだと言ってくれる人をようやく見つけたのに。好きだと思える人とようやく笑えたのに。
「羽紗、なんて……
咲乃なんて……大っ嫌い」
──その彼を奪った妹が。
キライから、大嫌いへと変わった瞬間だった。



