和泉が、「は?」と言いたげな顔をした。──言いたいことは、痛いほどわかるけど。でも、事実なんだから仕方ない。
「そ、んなことねぇだろ。
お前の勘違いじゃねーの?」
「……それならいいけど、ね」
人前で泣くことなんて泣くて。ましてや、あんなに泣き崩れたのは生まれてはじめてかもしれない。
それを見られたことが少し恥ずかしくて俯くけれど、和泉はそんなこと気にもしていなくて。
「勘違い、だろ。
ちゃんと確かめたのか?」
「事故ならいいけど、ちゃんと触れてたから」
──何かをした拍子に、キスしてるように見えたとか、そんな甘いものじゃなくて。
ちゃんと触れていたのを見た。
だから、こんなにも胸が苦しい。
「勘違い、だろ……?
じゃねぇと、俺……」
──きっと、私が気づいたのは遅かった。もっと早くから、ふたりは〝そういう〟関係だった。
だから。
「──咲乃。
心響の出入りを禁止する」



