「話したくねぇなら、無理しなくていいぞ」
「ううん、大丈夫」
「……それならいいけど」
彼の家のリビング。帰ってきた私たちはそこで軽くお茶をしていて。切り出そうとした私に、彼がそう言ってきた。
葉月さんは、彼女のとこにいるらしい。
彼のお父さんはお仕事で、お母さんは私たちと入れ替わるように買い物へ行ってしまった。
ついでに友だちの家でお茶してくると言ってたから、しばらくは誰も帰ってこないだろう。
失礼だけどやっぱり葉月さんって暇してませんか。
「去年の、冬頃。
──神無月のパーティーがあった日」
私は、神無月の令嬢として公の場に出ることが出来るからと、機嫌も良くて。
朝から、普段は仕事漬けのお母様とキラキラに全身を着飾るドレスを選んでた。
その日は、海の色とも空の色とも違う、濃くて澄んだ青い色のドレスに決めたのを覚えてる。
──咲乃が、「羽歌は青が似合うよね」といつか言っていたから。
だから、その色を選んだ。
「パーティーまで時間があるから、一度着替えて咲乃に写真も送ったの。
そしたら、綺麗だよっていつもみたいに返事が返ってきて……」
──何もかも、いつも通りだった。



