「おー。頼もしいね」



「オーナーは黙っててください」



「俺に冷たいなお前」



羽歌が、こくりと頷いて。



「……羽歌?」



俺にもたれかかってくるから、思わず名前を呼んだ。──どうした?羽歌が弱くなるなんて珍しいから、甘えてくるとすげぇ心配になる。



自然と手を伸ばして髪を撫でたら、羽歌はくすぐったそうに身をよじって「あのね、」と明るい声で口を開いた。




「ん?」



「ふふっ、なんでもない」



「……そっか」



幸せそうに微笑んでくれる羽歌を見るだけで、正直ほっとする。抱きしめるだけで幸せなんて、澪の時は感じなかったかもしれない。



──澪のことが、本当に好きだったのか。



それがいま曖昧で、迷ってる。だけど、それでもよかった。もう俺には、羽歌がいるからな。



「羽歌……

今日呼んだのは、話を聞いて欲しいからなんだよ。──澪に、会ってきた」