「先輩ってことは……1年生?」



「はいっ。1年の間でも神無月先輩は美人で有名なんですよー」



「柚はデザイン科だから……

校舎違うんだっけ?」



ああ、だからか。普通科の人数は多いし、デザイン科の校舎は離れてるから知らないと言ってもおかしくない。



「気を遣ってくれてありがとう。ごめんね」



「ふふっ。柚ね、俺の方が羽歌ちゃんと仲良いからずるいって言ってたんだよ」



「も、もーっ、稀沙くん……!

それは言わない約束でしょー!?」




柚ちゃんが顔を赤くして怒るけど、稀沙はへらっとしていて。でも柚ちゃんを大切にしてるのは、なんとなく伝わってきた。



「なんで、お前らがここにいんの?」



ふと、声がして。──ぽん、と頭の上に手が乗る。



……あ、和泉のことすっかり忘れてた。



「和泉さんこんにちは。

柚が海行きたいって言ってたんで連れてきたんですけどね」



「あー、なるほど。デート中か」



「そうです」