──……



「え?みんな来てないの?」



『あれ、知らなかったの?

羽歌ちゃんと岬が来ないって、昨日岬から連絡あったんだよ。で、それなら来なくていいかってなって』



「……うん」



『夕咲は情報屋の知り合いのとこ行ってるよ。梓と乃唯は、暇だし行くとこもないからってふたりで倉庫にいるよ』



邪魔がいなくて梓が喜んでた、とくすくす笑う稀沙。ああ、確かに。梓は喜んでそうだものね。



──現在、海を目前にして電話してる私。稀沙から連絡があったために、和泉は遠慮して飲み物を買いに行ってくれてる。




「あれ?

じゃあ、あなたは今どこにいるの」



『ん?ああ、あのね。

羽歌ちゃんの後ろにいるよ』



「……は?」



ば、っと振り返る。そうすれば、いつもと同じように微笑んで私にひらりと手を振っている稀沙。……なんでここに?



「な、んで?」



『とりあえず電話切るねー』



そう言って電話を切ると、こちらへ歩いてくる。よくよく見れば、隣には可愛らしい女の子がいた。