触れる唇も、時折優しく「羽歌」と囁かれるのも心地よくて。
「あー、やべ。
女子高生相手に本気になりすぎだろ」
「ふふ……」
「ばーか。ほら、飯食ったら好きなとこ連れてってやるから」
「……海、行きたい」
「海?夏なんだからすげぇ人多いぞ」
いいの、と頷いた私を見て、ほんのすこし和泉は考え込んだあと。もしや、と口を開く。
「お前、海行ったことねぇの?」
「……うん」
「マジか……まぁ、俺とだからな。
泳ぐなら、水着買わねーとダメだろ」
「持ってるわよ」
「なんで持ってんの?」
「実家にプールあるから……
今日は泳がないし、見に行くだけでいいわよ」
「お前の家、金持ちだったな……
んじゃ、海連れてってやるよ」



