触れていた体温が離れて、和泉が部屋を出ていくのが音でわかる。そのまま目を閉じていたら、少しして扉が開いた。



「起きれるか?」



「過保護……

別に病人でもなんでもないのに」



体を起こすと、グラスを渡されて。冷たい水を飲むと、頭の中がすっきりしたような気分になる。



「で、今日はどこ行きたい?」



「へ……?」



不覚にも間抜けな声を出して和泉を見つめる私に、彼は「ああそうか」とひとりで何やら納得していた。




「岬が、今日は用事あるから

お前もどっか出掛けてきていいって」



どうやら、私が酔って眠ってしまった後の話らしい。というか、何気なくここにいるけど。



「和泉……ごめん」



「ん?」



「わ、わざわざ昨日迎えに来てくれたんでしょ?迷惑かけてごめんなさい……」



あの場にいなかった和泉の家にいるってことは、つまりそういうことになるわけで。岬や先代の方たちにも迷惑をかけてしまったんだろう。



「お前に迷惑かけられてんのはいつものことだろ?」