「いらっしゃい。

──ん?岬が女連れ!?」



彼に連れていかれたのは、ちょっとしたバーのようなところだった。バイクは、裏の路地に適当に置いてたけど。



ギリギリ影に入ってるから、そのうち熱なんて冷めんだろ。と、彼は私を店の中に呼んだ。



「違ぇーよ。乃唯の女……の、姉貴」



「ややこしい説明だなオイ」



そう言ったまだ若そうなその人は、私を見てくすりと微笑む。



「いらっしゃいませ。お姫さま。

初めまして。このバーのオーナーです」




やっぱりバーだったのか。なんというか、神無月で暮らしていれば、あまりこういうところには来ない。──そもそも、私は未成年なんだけど。



「心響の姫が行方不明なのは知ってんだろ。

で、コイツは顔がそっくりだから変わり」



「そういうこと言うから、お前女にモテねぇんだな。

ごめんね?えーと、何ちゃんだっけ?」



「神無月 羽歌、です」



「羽歌ちゃんか。かわいい名前だね」



彼が席を勧めてくれて、岬の隣の席に腰かければ、「そういえば乃唯怪我したんだって?」と彼が言う。



……今さらだけれど、どういう関係なんだろう。