「だって、かなり急いで来たでしょ?

いつもならしっかりしてるのに、和泉がネックレスしてないなんて珍しい」



「してない時もあるだろ」



「外出してるときは必ずつけてるよね。

──羽歌ちゃんからの、プレゼントだから?」



チッ、と舌打ちする。誰にも言ってねーのに、なんであれが羽歌からのだって知ってんだよ。



「眠る前……お前の話ばっかだった。

ネックレスも誕生日にプレゼントしたら気に入って使ってくれてるから嬉しいんだとよ」



「………」



「岬もちょっと堪えたんじゃねぇか。

自分の女にほかの男の話ばっかされて。しかも先代だから文句も言えねぇしな」




自然と、ため息が漏れた。



「馬鹿」



──俺のことを、惑わせんなよ。



これ以上惑わせてどうしたいんだ。もう俺は、十分すぎるほどに好きだって、言えたら困んねーんだけど。



「ん……」



俺の腕の中で、身をよじる羽歌。抱え直すと、扉が開いて「和泉さん」と声をかけられる。



「岬……悪いな。

わざわざ取ってきてもらって」