「早く来いって急かしたの誰だよ……」



「ん?葉月?」



「はぁ……ったく、馬鹿か」



酒とジュースじゃグラス違うから間違えねぇだろ、とため息をつくけど。視線を移せば、雰囲気のためかジュースも同じグラスに入っていた。



「だから目離せねぇんだよ……」



すやすや眠る羽歌を、抱き上げて。



そこで、さっきからの疑問を口にする。




「なんでここ、空いてんの?」



羽歌の、隣。ハチとの間。



不自然にひとつだけ席が空いていて、しかもグラスはあるから誰かいたのはわかるけど。



「岬が、いま羽歌ちゃんの荷物を取りに帰ってるよ。

電話した時には既に出てたから、そろそろ帰ってくるんじゃない?」



ああ、それでか。



「和泉さ、羽歌ちゃんのこと好きだね」



「はぁ?」