『……悪い』 「いず、」 『やっぱ、岬に泊めてもらって』 「っ、」 『じゃあな』 電話が、切れる。音が途絶えて、そこに崩れ落ちそうになった。 和泉に、こんな風に突き放されたことなんて、一度もなかった。 「羽歌」 「……なんでも、ない。ごめんね、大丈夫」 笑ってみるけれど、全然笑えなくて。 「羽歌、帰るぞ」 「え、」 「お前、泣きそう」 「っ……」