透明な雫が、いくつもこぼれ落ちる。



もう、何も言う気になれなかった。



「好きだったのよね、ずっと。

だから嫌われたことを認めたくなかった」



羽歌ちゃんは、僕と視線を合わせる。



視界が滲んでいたけれど、なんとなくわかった。



「私には、その時のあなたの気持ちまではわからない。

でも、私もあなたと同じだったのよ」



羽歌ちゃんが、僕の頭を優しく撫でてくれる。──あの子を、ふった時の僕と同じように。




「咲乃と羽紗に、付き合ってるって言われたとき。

私も、しばらくそれを認められなくて」



彼女だって、楽に生きてきたわけじゃない。



「──咲乃を好きだと思い込まないと、私は生きてこれなかった」



大切な人に同時に裏切られた彼女の方が、きっと何倍も傷ついた。



「でもね、さっき……それが解決したの」



「え……」



──さっき?