「…」 思わず、視線を落とす。 …帰ろう。 熱くなった目頭に、机に置いていたバッグを肩にかけた。 そっと、静かに、気付かれないようにドアを開けて、廊下を早歩きする。 「っ、はぁ」 図書館のある4階から立ち入り禁止の屋上までの、人の来ない階段に座る。 篠宮くんが先生を好きなのは知ってた。 私の恋が叶わないのも知ってた。 だけどいざこの目で見てしまったら、 想像してた以上に苦しかった。