君のいいところ、1つしか思いつかない。





「それで、ここの意味が反実仮想だからー…」





プリントから顔を上げた先生の髪が、口にかかった。



それに気付いた篠宮くんは、長い指でその髪に優しく触れた。




スッ、とそのまま梳かれた髪が、光に当たって艶めく。


大切すぎて、壊せない。
そんな宝物に触れるみたいな。


愛しそうに先生を見つめる篠宮くんの瞳は、ふっと下を向いたことによって掛かった黒い髪によって隠された。




…2人は、ものすごく綺麗で。

ドラマのワンシーンみたいで。


他の人の入る隙なんか少しもなくて。