君のいいところ、1つしか思いつかない。




「あれー?1人?」
「お、可愛いじゃん」





突然聞こえた声に顔を上げると、男の人が2人、あたしの前に立っていた。





「どうしたのー?そんな顔して」
「彼氏と喧嘩でもしちゃった?」




ニヤニヤしながら聞いてくる2人が怖くて、逃げようとするけど目の前に立たれているので逃げ場を見つけられない。





「俺たちと遊ぼうよー」




もう、嫌だ。

あたしもカキ氷買いに行けばよかった。

晴にばっかり気を遣わせるから、バチが当たったのかもしれない。



あたしもカキ氷を買いに行ってれば。

女の子たちに囲まれる晴を見なくても済んだかもしれない。

この人たちに絡まれることもなかったかもしれない。


掴まれた腕に、抵抗する気も起きずにただ下を向く。





「可愛いね、似合うよその浴衣」




そう言われて、目頭が熱くなった。