「晴じゃなきゃ、ダメだよ」 そう言うと、肩に埋められた顔にドクンと心臓が跳ねた。 「紗月ちゃんはさ、馬鹿だし、鈍感だし、俺に嫌いとか言うし、篠宮しか見えてないし …でも、何でこんなに大好きなんだろうね?」 顔を上げて抱きしめていた腕を緩めてから、晴は眉を下げて笑った。 「え…」 サラ、と髪を撫でられ、引き寄せられた顔。 唇が触れるまで、あと1センチ。 そこで一瞬止まった晴は。