「今救急車呼ぶから...」


とケータイを探そうとする彼の手をあたしは止めた。


彼は自分のケータイがどこにあるか知らないが、あたしは止めたんだ。



「何だよ...?

その手離せよ...


じゃないとお前、死ぬぞ?」



これで良かったんだ。


あたしの最期は。



あたしは喋る労力を失ってるため、柔らかく笑い目を閉じた。




それからもうあたしが目を開けることはなかった。