覚醒者3号

当然そんな事もあり、教室に帰るとクラスの男達に、何を話していたんだと問い詰められる。

名前を聞かれただけだと答えると、今度は何でお前だけ名前を聞かれるのだと質問責め。

そんな事はこっちが訊きたいくらいだ。

そんな会話を交わしていると。

「お」

教室に四門と宮川が戻ってきた。

「よぅ、四門、宮川。お前らどこ行ってたんだ?」

注射の痕を押さえていたガーゼをゴミ箱に投げ込みながら俺が言うと。

「どこだっていいじゃない?」

不敵な笑みを浮かべ、四門が返答する。

なんか棘のある言葉だ。

四門は実は人嫌いなんじゃないかって噂がたっているけど、本当かもな。

「それにしても貴方達」

四門はどことなく優雅な仕草で自分の席に着きながら続ける。

「あんな予防接種、よく受ける気になるわね」

「あんな?」

クラスメイトの一人が四門の言葉に反応する。

「ああ、効くか効かないかアテにもならないって意味だよ」

慌てて宮川が付け足す。

ああ、確かに。

予防接種…特にインフルエンザなんて、その年流行する型とワクチンが一致しなけりゃ受ける意味がないっていうもんな。

「でもまぁいいじゃないか。今回のは無料でやってくれるらしいし」

俺が呑気に言う。

それを聞いて。

「は」

訳知り顔で四門は笑った。

何だか、

『タダより怖いものはないって言葉、知らないの?』

そんな風に言いたげな態度だった。