立ち上がり、走り出す。

地元という事もあり、この辺の地理は詳しい。

確か近くにスクラップ場があった。

廃車や鉄屑をプレスしている場所だ。

とりあえずそこに逃げ込もう。

そこを横切れば、警察署への近道があった筈だ。

警察署に逃げ込めば、保護してもらえるかもしれない。

もう俺達二人だけで1号に対処するのは限界が近づいてきている。

逃げ切る事よりも、守ってもらう事を考えた方がいい。

そのプランを黛さんに話してみる。

「…仕方ないわね」

黛さんは少し渋い顔をした。

「できれば他の人間を巻き込みたくはなかったの…警察でも、1号を止められるかどうかはわからないわ…彼女は常識が通用しない存在だから…でも選り好みはしていられないわね」

そう言って彼女は首を縦に振る。

「そのプランで行きましょう。警察署に辿り着くまで、油断しないでね」

…俺も黛さんの言葉に頷いた。

すんなり警察署まで行けるとは思っていない。

きっと1号は、また俺達の前に立ちはだかる。

根拠もなく、そんな予感がした。