おい…おいおい!

俺は思わず席を立つ。

「どうしたの、小山田く…な!?」

俺の視線に気付いた黛さんも、突っ込んでくるトラックに驚愕する。

ファミレスに…正確には俺達の座っていたこの席に突っ込んでくるトラック。

驚いた事にそのトラックには、誰も乗っていなかった。

無人のトラックが、まるで俺達を狙っているかのように暴走し、突っ込んでくる!

しかし今はそんな事を考えている暇はない。

「小山田君!」

俺は黛さんに手を引っ張られてその場を駆け出し、その直後。

「うわあああああっ!」

凄まじい衝撃音と共に、トラックはファミレスの壁を貫いた!!

ガラスを粉々に割り、多くの無関係の客や店員をはね、轢き潰し、店内を破壊しながら進むトラック。

悲鳴と破壊の音の響く惨状の中、ようやく店の中程まで車体をめり込ませ、暴走トラックはその巨体を軋ませて止まった。

「……」

床に伏せてトラックの直撃から逃れた俺と黛さんは、ゆっくりと顔を上げる。

泣き叫ぶ子供、血まみれでうめく男性、トラックの車体の下に挟まれて動かなくなった女性…。

俺は言葉も出ない。

…まさに…地獄絵図だった。