俺達が向かったのは駅前にあるファミレスだった。

窓際の席に、黛さんと向かい合わせに座る。

「……」

俺は相変わらず頭痛に悩まされていた。

心なしか、さっきより酷くなってきた気がする。

「…どうしたの?」

黛さんが心配そうに覗き込んでくるが。

「何でもない」

俺は平気なふりをした。

…まだ彼女を完全に信用した訳ではない。

簡単に弱味を見せては、後々こちらの都合の悪い事態にならないとも限らないのだ。

「そう…それじゃ何か食べよっか。何でも好きなもの頼んで。奢るからさ」

気を取り直して、黛さんは明るく言った。

…メニューを見て、黛さんが注文したのはカルボナーラ、俺はハンバーグセットを頼んだ。

料理が来るまでの間、他愛ない会話を交わし、料理が運ばれてきたので食べる。

…その間も、頭痛は治まらなかった。

こめかみに錐でも突き刺されて穴を開けられているような痛み。

耐えられないほどではないが、黛さんとの会話にも集中できない。

「…小山田君?」

会話の途切れた俺を、黛さんが心配そうに見つめる。

「大丈夫?具合悪いんじゃないの?」