俺は桜庭学園3年9組の夏目陽という。
普段は学校に通いながら俳優業をしている。
メディアに出る時はコンタクトにしているが、普段は眼鏡をかけているため、あまり身バレしない。決してオーラが無いわけじゃない!

まぁそれはこの際どうでもいい。

今重要なのは、俺の可愛い従妹(いもうと)がうちの学校、"男子校"に入学したということだ。
しかも噂ではたかだか芸歴2年目のペーペーアイドルと同室で暮らしているとか、どこぞの馬の骨に押し倒されただとか…。


捻り潰す(笑顔)


という訳で、取り敢えず勝手に出来ていた日向ファンクラブとやらを(日向の幼少期秘蔵ブロマイドで)買収した。
初めはひなたに関する危険因子を見張るためだったが、こいつらがなかなかまぁ使えた。
ひなたが今どこで何をしているのかという情報が逐一耳に入ってくる。

そんな時、ひなたがペーペーアイドルの一人と空き教室に入っていったと連絡があった。

秒で駆けつけたが何か話をしているようだったので、ひなたに対する狼藉の決定的瞬間を押さえてやろうと身を潜めていたところ、思いがけずひなたが桜庭学園に入学した経緯を聞いてしまった。



「もしかして…………お兄、ちゃん?」

「日向?お兄ちゃんって!?……お前もしかして、夏目陽!?」


あの話を聞けたのは思わぬ収穫だったが、しかし、こいつは気に入らない。
ひなたを呼び捨て、しかも同室、なにより、なんなんださっきの青春を匂わせる雰囲気は!!

「夏目陽だと?お前のようなペーペーに呼び捨てにされる義理はない!とにかく、早く俺の従妹(いもうと)から離れてくれるか」

「妹って、夏目陽っ…さんと兄弟なのか?」

「ううん。兄妹じゃなくて従兄だよ。6年ぶりくらいかな?お兄ちゃんもこの学校だったんだね!昔はよく一緒に遊んで、泥だらけになったりして…。楽しかったな〜」


ひなたはいつまで経っても俺の天使だ。
俺が俳優になったのも、ひなたに近寄る不敬共を一蹴するためだった…。






そうだ!







「ひなた。今日からはお兄ちゃんと一緒に暮らそう」