世奈 side




翔太のマンションに泊まる夜。

あたしは翔太と一緒に、カレーを作っていた。



「ね、玉ねぎってどう切るの?」

「テキトーでいいよテキトーで」

「て、テキトー?」



あたしは外食したかったんだけど、翔太が「二人で何か作りたい!」って言うから、こうやって今二人でキッチンに立っている。

だけど全く料理が出来ないあたしは、野菜を切るのも一苦労で…。

翔太は料理がそこそこ出来るらしく、さっきから慣れた手付きでジャガイモを切っている。



「じゃあ、翔太は毎晩自炊してるんだ?」



気になってそう聞いたら、翔太は…



「ううん。コンビニ弁当の方が多い」



って、そう答えた。

…そういえばいつだったかに、晩ごはんのコンビニ弁当を買った翔太と出会したことがあったような…。

あたしがそう考えながら玉ねぎを切っていると、やがてもうジャガイモを切り終えたらしい翔太が言った。



「っていうかさ、こういうことしてると妄想しちゃうね」

「え、妄想?」

「うん。将来僕と世奈ちゃんが結婚したら、世奈ちゃんはこうやって台所に立って晩ごはんを作ってくれるんだろうなーとか、」

「!」

「僕が仕事から帰ってきたら、“おかえりなさい”って世奈ちゃんが迎えてくれて、チューしてくれたりとかさ」



翔太はそう言うと、今度はニンジンの皮を剥きはじめた。

その言葉にあたしは照れて、思わず玉ねぎを落としてしまいそうになる。


ってか、結婚って!


そんなこと言われたらあたしだって意識しちゃうじゃん!


でも…



「…チューはするかなぁ?」

「絶対毎日する、」



翔太なら、良い旦那さんになりそうな気がする…。


なんて、思わずそんなことを考えてしまった。