このちょっと重悲しい雰囲気を打ち破ったのは他でもない小岩井君。

「後藤は大袈裟なんだよ。

俺の高校時代が異常だったんだって

高校の時以外、俺ずっーと太ってたし……

成長期だったから幾ら食べても上に伸びるからね

それとサッカー部の監督がメチャクチャ厳しくてさ

怖くて辞めたいって言えないまま部活続けてたら痩せてたんだよね……ハハハ」

「「「えぇーーーーーーーーー」」」

小岩井君の発言に本日2回目の叫び。

今度は私、カンナちゃん、飛鳥ちゃんの声が見事に重なった。

私たちの反応がツボだったのかケラケラ笑う彼は

『太陽神』でも『彫刻』でもなく至って普通の気のイイ青年。

魂の抜けた私に本人が話してくれた『小岩井旭の真実』

それは私の想像を遙かに凌駕する内容だった……

お…恐るべし、小岩井旭

「それより錦野さんは凄く痩せたよね?

高校の時のぽっちゃりした感じも可愛かったけど……」

えっーと小岩井君、大丈夫?

私を保健室に運んでくれた時に当然分かったと思いますが……

世間ではあの目方の人間をぽっちゃりとは言いません。

もしかして小岩井君デブ専?

私の中で勝手に創り上げた小岩井旭という偶像は脆くも音を立てて崩れて行った。