飲み物はまだ十分にあるみたいだけど、料理はデザートを配り終えたらしまいになる。

女性のお客様が多い事もあり和田さんはデザートを2種類用意してあった。

「抹茶のパンナコッタです。

こちらはイタリアン・ドルチェのパンナコッタに抹茶を加えて和風にしてあります。

ココナッツしるこです。

こちらはココナッツミルクのスープに甘く煮た金時豆と紅イモのニョッキ、

さいの目にカットした果物が入っています。

このパウンドケーキはサービスになるか分かりませんが……

もし良かったらお召し上がりください」

1本は小岩井家に1本は和田家に減量達成のお祝いにするつもりで、私が2本のパウンドケーキを焼いて持って来た。

和田さんにケーキを差し入れするとお客様にもお裾分けで振る舞われる事が時々あって、それが今回この若い団体客に決まったらしい。

美味しそうにデザート食べる皆の様子を窺いながら空いた食器を片づける。

「うまっ……俺、このケーキどこかで食べた事がある。どこだっけかな?」

男性客の声にドキッとするも……

『そんな筈はありません。だってそれ……私が焼いたんですから』

「どなたかが作ったケーキに味が似てますか?」

興味があったから男性に声を掛けてみた、よく見るとなかなかのイケメンさんです

「ううん。絶対に同じ味だと思う……味覚に関しては自信あるから」

『ふ~ん。折角の自信をへし折って悪いけど……

私はこのイケメンさんとは面識はない

……ってことは私のケーキを食べる機会も無い訳です』