「こいちゃん。

『あなたには釣り合いません』

あの言葉は言われた方も傷つくものなのよ」

マリアさんの言葉がズキンと胸に突き刺さる。

決して傷付けるつもりで口にした言葉じゃ無かったのに……

立場が違えば『そうだよね』って思う自分も居る。

でも他に何と言えば良かったのか私には答えが分からない。

「脱線したわね……ごめんなさい

それでも諦められなくて秋緒さんにアプローチを続けていたら

秋緒さんが折れてくれて付き合う事になったの

結婚が決まってから勤めていた会社は寿退社することになったけど

私と秋緒さんの結婚が決まった時から、

今度は秋緒さんが嫌がらせの対象になってしまったの」

『なんて執念深い人だろう……

そんな人だからマリアさんに振られるんだよ』

話を聞いていて沸々と怒りが湧いてくる。

20年以上も嫌がらせとかされたら会社だって辞めたくもなるだろうに……

家族の生活を守る為に嫌がらせにも屈しない、忍耐強い小岩井父を本当に尊敬する。