「一番星が見える……キレイね」


 ………ああ、そうだな。


 オレ達が走ってゆくこの世界は、なんてキレイなんだ。


 畑と田んぼが続くこの道は、空がやたらに広く。


 陽の暮れかけた空は一面の茜色で。


 オレたちのバイクを真っ白な鳥が二羽、じゃれるように飛びながら、追いこしてゆく。


 その先に輝く赤い星が、すごくキレイだった。


 隠してるささやかなコトも。


 怖れている小さなことも、笑い飛ばすように輝いてるように見えた。


 オレは今、泉川と同じ風景を見てる。


 そう思うと、なんだかとても気分が良かったんだ。