「……何やってるんです?」


早速調査にのりだした……筈が、この人はなぜか階段まで行って足を止めると、戻ってきてホームズを撫で始めた。


ホームズはというと、気持ち良さそうな顔をして喉をゴロゴロ鳴らしている。


猫愛好家としてはキュンとくる顔なのよね〜。


「いいか、猫ってのは独自のネットワークをもってるものなんだ」


仕事のやり方に口を挟まれたせいか、眉間の富士山がエベレストになってしまっている。


「意外と情報が集まるんだぜ?それで、ホームズの毛からそのネットワークの残留思念を読み取ってるんだ。邪魔すんな」


ムカ!


最後の一言は余計な蛇の足だった。


こっちは依頼人ですよ。い・ら・い・に・ん!


(もう!依頼料なんて限りなく値引きしてやるんだから!)


あれ?そういえば……


「なんでさっき私に触れない時点で《猫好き》なんて分かったんですか?」


「見えた」


無視かよ!


突然ホームズから手を離した六は、私に向き直るとまたぎゅうと手を握りしめてきた。


「うぉう!」とまた性懲りもなく驚く私。


男性経験の少なさは、あまりチクチク突っつかないで欲しいところだ。