艶麗な夜華

「ところがその金は全てその女とタクミが裏で折半って訳か」



恭也の言葉にうなずく翼。



「はい……」



翼を自分の店に引っ張る為に、


1年も前から計画を進めていたタクミさん。


しかも、彼女をネタに脅すだけではなく、


お金まで取るといった行動。


その胴慾さに背筋がゾッとした。



「いつ知ったんだその事」



次に翼が語った話の切なさに、


全員が心憂いさに駆られた。



「タクミの店で働きだして1週間くらいしてからの事でした。


俺は……タクミと手を繋いでデパートの階段を駆け下りる彼女を見てしまったんです。


彼女は楽しそうに笑ってました。


心臓が悪い筈の彼女が、


ゆっくりしか歩けない筈の彼女が、


いつも静かな声で話す彼女が、


笑いながら……しかも、階段を……。


その時知ったんです。


俺はタクミに騙されていたんだと。


でも……俺はもうすでに……心の底から彼女に惚れていたんです。


どうしても嫌いにはなれなかった。


だから俺は、少しの希望に賭けました。


彼女が本気で俺に惚れてくれれば……と」