艶麗な夜華

「どういう事……だよ」


呆然とした様子で話すヤス。


恭也は真顔で翼のグラスにウーロン茶を注ぎ足し、


さっきまで悲痛な表情を浮かべていた翼の目の色が変わる。



「全部……タクミが仕組んだ事だったんです」



「あの野郎どこまでも!!!!」



ヤスの声が店に響き渡る中、


翼の表情はまた、辛く悲しいものへと変わる。



「タクミは俺にこう話を持ち掛けました。


"来年店を開く事にした、お前に来て欲しい"と。


俺は迷わず断りました。


するとタクミは彼女の事を話して来たんです……」



彼女の存在をバラすと翼を脅したタクミさん。


恭也の言う通り、それを恐れた翼はタクミさんの言いなりになるしかなかった。


それには、ナンバーワンで居続けたいという彼の意地やプライドだけではない、


別の理由があった。



「俺は生活費や、思いの外掛かる病院代を全て彼女に渡していました。


月に何十万も掛かるそれに、


あの頃はなんの疑いもなく。


とにかく……稼ぐ必要があったんです」