時間になり、家を出ると恭也の店に向かう。



朝から雨が降っていた今日。



翔は多少濡れても大丈夫なようにと、


きちんとシンプルにまとまったアップヘアにした。



意外にも気が利く。



店に着くと、カウンターの上のグラスを厨房へと運ぶ。



するとドアが開く音が聞こえ、


あたしは厨房から顔を覗かせた。



「こんばんは」




透明感のある声と共に姿を見せたその人は……



「こんばんは……」



ヒカリさん。



今、あたしが居るエレナの元ナンバーワン。



「あれ?恭也はまだ来てないみたいね」



ヒカリさんは薄手のコートを脱ぐと、


それをカウンターの椅子に掛け、


そして座る。



「あ、あの、もう少しで来ると思います……」



緊張しながらそんな事を話すと、


ちょうど恭也が出勤してきた。