なにも知らないのが嫌で、


恭也の事ならどんな事でも知りたくて、


でも……知った事実はあたしを苦しめるものでしかなかった。



「心底……愛した人……」



呟くあたしに恭也が言う。



「だからもう、俺の事はあきらめろ。


これから先も、俺の気持ちが変わる事はない」



はっきり言いきられた今、


あたしが恭也に言う言葉なんて一つしかなくて。



「だったらその人と付き合えばいいじゃん!!」


大きな声を出すあたしに対して


恭也は静かな声で言葉を返す。



「そうだな」




今、凄く胸が痛くて苦しくて張り裂けそうなそれは、


見えないなにかに締めつけられて、


消えてなくなってしまいたいくらい辛いのに、



なんでだろう……


少しだけ……


恭也に誰かを好きになる気持ちがあってよかったって……思ってるんだ。




だからあたしは恭也の事を……


諦められない。