明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。


 明香自身は優香に気を取られ、由紀の変化には気付いていない。

「ごめんなさい」

 優香は明香の体を押した。すると、明香はよろけ、バランスを崩した。彼女はその場で尻餅をつく。

「明香さん」

 由紀と亜紀子が明香に駆け寄る。明香が再び優香を睨む。

 優香はびくりと体を震わせ、自分の席に戻ると、鞄を手に教室を飛び出した。

「保田さん?」

 私は彼女を呼び止めるために教室を出たが、彼女の姿はもう小さくなっていた。