いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。



……春斗に、言わなきゃ。


「……今までありがとう、春斗。私ね、中学校の時に付き合ってた人と、また付き合うことにしたんだ」

「……え?」

「私、その人のことが本当に好きでね。でもその人、ちょっと束縛が激しくて。だから、春斗とはもうこうして話せないし、遊べないの」


涙をこらえて、私は春斗を見つめる。


今言ったことは、全て私の作り話。


春斗と離れるために、一晩中を使って一生懸命考えた嘘。


春斗はそんな私の嘘に、つらそうに顔を歪める。


「……心咲は、本当にそいつのことが好きなの?」


春斗の声は、切なく脆く、震えていた。


「好きだよ」


自分の心に黒く黒く墨を塗って、また私は春斗に嘘をつく。


本当は、春斗が好きなくせに。


今だって、泣きたくて泣きたくて仕方ないくせに。