ショッピングモールの中でも、特に人通りの少ない外の街路樹を歩く私たち。
私は春斗を見ながら、そっと笑う。
「なれるよ、春斗なら」
私のその言葉に、春斗が立ち止まって振り向いた。
不思議そうに私を見ている春斗。
私はそんな春斗に向かって、嘘の笑みを浮かべる。
「春斗ならきっと、大切な人を全力で守れる、あの映画のヒーローのような強い人になれると思う」
春斗が、眉間にしわを寄せた。
「………どういう意味?」
「そのままの意味だよ。春斗はとっても優しいから。春斗のことを好きな子だって、きっとたくさんいる」
胸の奥がジワリと熱くなって、涙が溢れそうになる。
私は必死に唇を噛み締めて、涙がこぼれないように上を向いた。



