いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。



「松岡さん。今日はどうされましたか?」


ここは病院の診察室。


私はお母さんと一緒に、今日あったことを全て話した。


すると、お医者さんは急に険しい顔つきになって、何かをパソコンのキーボードで打ち始めた。


「………松岡さん」


それから数分後、ようやくお医者さんがパソコンから顔を上げる。


そしてまたあの時と同じように、私を地のどん底に突き落とすようなことをお医者さんは淡々と言い放った。


「病状の進行が、思っていたよりかなり早いです」

「……っ」

「このままのペースでいくと、一年ともたず、あと5ヶ月後……。今年の10月から11月くらいには、松岡さんの記憶のほとんどがなくなっていると考えられます」


………もう、言葉も出てこなかった。