いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。



私はそっとその場を離れ、ホームに向かう。


結局春斗は、最後まで私に気付いてくれなかった。


いつもみたいに改札口で私に手を振ってくれる春斗は、いない。


なんだか仁奈さんに春斗をとられたみたいで、胸がすごくモヤモヤする。


そして電車で、


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今日はごめん。

久しぶりに友達と会えて、
嬉しくてさ。

ついつい話し込んじゃった。

明日はちゃんと、見送るから。

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という春斗からのメールを見たとき、やっと気付いたんだ。


私がいつの間にか、春斗に恋をしていたということに。


春斗のその笑顔を、優しさを。


私だけに向けて欲しいと思っていたことに───。