「……っ、く……」
唇をきゅっと噛み締めたまま涙を流す私の頭を、春斗の左手が優しく撫でる。
春斗の右手は、私の左手とつながったまま。
「……心咲」
「……ん?」
「おばさんは、心咲がどんなに酷いことを言っても、心咲を見捨てたりしないよ」
やわらかな口調で春斗が言う。
「だってさ、おばさんの方から俺に電話してきたんだから。“心咲を救ってやってほしい”って。“絶望の中にいる娘を助けてやれるのは、春斗くんしかいない”って」
「え……?」
思いもしてなかった言葉に驚いた私は、左側にいる春斗をゆっくり見上げる。



