いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。



完全に真っ暗ではなくて、茶色の明かりがぼんやりと部屋を照らす。


春斗がこそこそと動いて、私の隣に敷いてあった布団に入ったのが分かった。


「…………」


春斗ともう少し話したい。


先にそう言い出したのは私なのに、いざこうなってみると何を話せばいいのか分からなくて、心地の悪い沈黙が私たちふたりの間に流れる。


チラッと春斗を盗み見ると、春斗は天井を見上げながら、何かを深く考え込んでいるようだった。


「ねぇ、春斗……」


春斗に手を伸ばしても、届かない。


ほんの少し遠い私たちの距離に寂しさを感じた私は、ポツリと春斗の名前を呟く。