いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。



そろそろお風呂に入らなきゃ。


そう思った私は、春斗を見て首を傾げる。


「ん。そうしようか。ここの旅館、温泉があるって仲居さん言ってなかったっけ?」

「あ、うん。言ってたね」

「混浴と男女別浴があるって聞いた覚えがあるんだけどさ、心咲は男女別浴がいい?」

「…………」


顔に火が灯るように、一気に頬が熱くなった。


「心咲?顔が赤いけど、大丈夫?」


……春斗は、変なところで鈍感さを発揮するよね。


なんで私の顔が赤いのか、本当によく分かっていないみたい。


……でも、今の私にとっては、それでよかったかもしれない。